C3030Zoom活用術
ラティチュード 日本語に訳すと「寛容度」になります。 これは露出時に起きる被写体の明暗差にどれだけ寛容度があるかと言うことで、コントラストの強い被写体では白飛びと黒つぶれがどこまで防げるかにかかわってきます。 写真は光りの強弱なので、被写体の明暗比が大きい場合、光の強い部分は白く飛び、暗い部分は黒くつぶれてしまい、画像としてのデータは飽和状態になってしまいます。こうなるとちょっと困った事になり、なるべくならラティチュードは広いにこした事はないのですが、デジタルカメラの場合、これがかなり狭くて苦労します。 例えば人間の目の寛容度を10とした際、銀塩カラーフィルムは6程度、デジタルカメラのCCDにいたっては3程度とかなり狭い範囲になっています。 あなたの目の前に大きな樹木があると思ってください。その向こうには晴天の蒼い空。太陽は樹木の向こう側からこちらを照らしており、あなたは樹木の日陰側に立っているとします。人間の目で見れば樹木の表皮の様子も、空の青さも一緒に視覚的に感じることが出来ますが、これをデジタルカメラで撮った場合、露出を樹木に合わせると空は白く飛び、反対に空に露出を合わせると樹木は真っ黒な塊に写ってしまいます。これでは写したい情景も撮った画像は全然違っていたって事になり兼ねません。 撮影した例で見てみましょう。
上の作例の時の撮影条件としては薄曇りで太陽の光が射していた程度。 露出は樹木表面で取っています。その結果、背後の茂った緑までは良かったのが、空を含めた明るい部分は完全に白飛びしています。これを完全に回避する方法はありませんが、露出をすべてカメラ任せにするのでは無く、露出の条件を変えてやる事によって多少違った雰囲気に撮る事は可能です。またこれは300万画素級のデジタルカメラでは特に必要になって来るでしょう。それだけラティチュードが狭く、今のCCDでは使いづらいのです。
上の作例では日差しを受けた建物の屋根と、屋内の測光ポイントの違いによる写り具合です。どちらが良いかと言われても、どっちも嫌と答えたくなりますね。 まず、神社の屋内を測光して撮影すると、屋根はほぼ白飛びしてしまいっています。反面、測光が正確な屋内部分は柱の細かいラインも良く写っています。 今度は屋根を測光してAEロックしてから構図を決めて撮った物については、測光通りに屋根のディテールはしっかり出た反面、今度は屋内がつぶれてしまいました。もう少しラティチュードが広ければどちらも表現できるのですが、、。後はレタッチ処理するしかないですね。
こちらは「大成殿」の文字を素直に測光して撮影したのが上側の写真です。屋根が完全に白飛びしてしまっています。通常、こう言う感じに撮れてしまう場合が多いので、300万画素級のカメラではこまめに「露出補正」をする必要があります。 下側の写真は「−0.7EV」露出補正をした写真で、これなら屋根と柱のディテールをなんとか生かしながら表現できました。 コントラストの高い日中の撮影は、9割近い頻度でこまめに露出補正する必要がありそうです。それも、ラティチュードが狭いので、測光値+−0.7EVが限界で、それ以上にいじくると、かえって黒つぶれや白飛びが別の個所で出てきてしまいますので、何枚か撮影して適正な露出の物以外を削除する方法が良いでしょう。このカメラもそうですが、300万画素級のカメラには前後露出を自動でずらして撮影するモードもあるので、急いでいる時はそれを使ったほうが便利です。 |