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ファームウェアのバージョンアップでマニュアルフォーカスが標準装備されたAllegrettoM70ですが、他のデジカメと同様、無限遠を撮影する際には注意が必要です。これは、カメラ側で無限遠にセットしても、実際撮影された画像では、最遠景のピントが甘くなっている場合があります。 実際の撮影例を元に見てみる事にしましょう。 ピントの合う合焦範囲は焦点距離と絞り値によって左右されます。絞りを絞るとピントの合う範囲が広くなり、またレンズの焦点距離が広角になっても同様です。 ここでは、敢えて合焦範囲の少なくなる絞り開放値で行います。 まず最初にカメラのズームレンズを広角側一杯にセット。 ・絞りF2.0 ・シャッタースピード15秒露光 で、マニュアルフォーカスの設定値を「無限遠」「5m」「2m」それぞれで「夜空」を撮影してみます。
以下、説明画像は撮影例から等倍で必要部分を切り取って貼り付けています。 |
F2.0 15s 広角端 「星」 | ||
無限遠 |
5m |
2m |
結果、いずれもピントの合焦具合はだいたい同じですが、細かく言えば「無限遠」にセットするよりも、「2m」にセットした方が、星にしっかりピントが合っています。なお、星が「丸」になっていないのは、15秒露光の為、地球の自転で動いたためです。 次に、カメラの露出値はそのままで、カメラの位置から約2m離れた所にあった樹木についてです。 |
F2.0 15s 広角端 「手前の樹木」 | ||
無限遠 |
5m |
2m |
この場合は当然の事ながら、無限遠よりも2mのフォーカスにセットした方がピントが合います(長時間露光の為、微風の風でブレてはいます)。 つまり、広角で夜空を撮影するのであれば、マニュアルフォーカスを「2m」にセットして撮影すれば、手前の被写体から、最遠景の星までパンフォーカスで撮影する事が可能です。 次に、絞り開放値のまま、ズームレンズを望遠端で撮影してみます。
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F2.6 15s 望遠端 「星」 | ||
無限遠 |
5m |
2m |
結果、こちらは無限遠にセットした方がピントが合っています。先ほどの広角端に比べると、マニュアルフォーカスの設定がちょっとでも違っていると星はピンボケになります。かなりシビアです。 では同様にカメラの前2mの位置にあった樹木を見てみます。 |
F2.6 15s 望遠端 「手前の樹木」 |
無限遠 |
5m |
2m |
これも当然の事ながらマニュアルフォーカスを2mした場合にピントが合います。ここで見て分かるのは、ズームレンズを望遠端にした場合、パンフォーカスで撮影するのは当然無理なので、星のみを狙って撮影するなら「無限遠」、手前の被写体から星までをなんとかフォーカシングさせるなら「5m」にセットします。 これより合焦範囲を広げるには、絞りを少し絞ってやります。但し、絞りを1段絞れば、露光時間は倍に伸びますので、今度はノイズの問題も発生します。なるべくなら露光時間は少なくし、明るいF値のレンズを活用しながら妥協点を探してみてください。 |